イジワルな彼とネガティブ彼女
「おはよう、待たせちゃってごめんね」


「莉子さんおはよう、私服かわいいですね」


いやいや、そんなことは絶対にないから。


私にとって「かわいい」っていうのは、ピンクとかのパステルカラーを上品に着こなしてるような人だから。


今日着てきたのは、黒のパンツに濃い目の青いニットにチャコールグレーのダウンジャケットだし。


ほんと、自分でも納得しすぎるくらい、地味だと思う。


「・・・かわいい、ってことは、ないから」


「そうかな、莉子さんに似合ってるけどな」


こっちだから、と言いながら、翼くんは自然に私の左手を握った。


私より細いんじゃないかと思うほどの、華奢な指。


まわりの人たちは、私たちを見てどう思ってるんだろう。


どう思われても気にしない、という気持ちには、まだなれなかった。



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