イジワルな彼とネガティブ彼女
待ち合わせしたのは、オシャレな雑貨屋さんとか洋服屋さんが立ち並ぶエリアの最寄り駅。


翼くんと私は、地下鉄の沿線は違うけど、この最寄り駅でそれぞれの路線が交わる。


こんなに近いのに、私は一度もこの街に来たことがなかった。


この街を一人で歩くのは、さみしすぎる気がして。


「莉子さんが好きそうなお店があったんだ」


「すごいね翼くん、詳しいんだ」


「実は昨日、リサーチしに来たんだよね」


「正直に話してくれるのが、翼くんらしいね」


「そのうちボロ出すかもしれないし」


翼くんは、私なんかのために、そこまでしてくれるんだ。


私が、翼くんのためにできることなんて、何もないのに。



翼くんが連れてきてくれたのは、輸入雑貨を扱っているお店だった。


「ここね、文房具もあるんだよ。


品質は日本の方がいいだろうけど、デザインは参考になるんじゃないかと思って」



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