イジワルな彼とネガティブ彼女
「莉子さん、俺、まだ我慢しなきゃダメ?」


「・・・がまん?」


「俺、莉子さんの初めての男になりたいんだけど」


・・・そういう意味だったんだ。


いやいや、ムリムリ、絶対に。


まだそのことについて、なんにも考えてないから。


でも、そもそも、考えてから行動すべきことなの?


本能のおもむくままに、許せる相手なら、越えてもいいの?


誰か、私に教えてよ・・・


そんなの誰も、教えてくれなかったよ。


何も言葉を発せず固まったままの私に気づいたのか、それともあきれたのかわからないけど、翼くんはやっと力をゆるめてくれた。


「ごめん莉子さん、俺だけ焦って空回りしちゃってた」


「ううん、私こそ、ごめんね」


「まだ電車あるから、送るよ」


「だいじょうぶだよ、じゃあまた明日」


逃げるように部屋をあとにした。



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