イジワルな彼とネガティブ彼女
「えっ?」


なんで、本田さんが支払うわけ?


ひきつった顔の私に、院長は言った。


「楓さ、俺に患者さん連れてくることなんかなかったんだよ。


だけど、どんなに料金かかっても構わないから、とにかく早くキレイに治してやって、ってしつこくてさ。


かわいい高橋さんにケガさせて、楓も相当テンパってたみたいだから。


じゃ、これからはうちをかかりつけにしてね」


お大事に~、とみんなに見送られ、歯医者をあとにした。


どうして、本田さんに借りを作らないといけないわけ?


イライラが頂点に達した私は、本田さんの名刺を取り出し、メモしてあった携帯番号に電話した。


「もしもし」


「突然お電話してすみません、高橋です」


「あー、おまえか、なんかあった?」


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