イジワルな彼とネガティブ彼女
初めて乗る高級車の座り心地は最高で、ずっと座っていたかった。


しかも、椅子がすごくあったかい。


「あの・・・誰かここに座ってたんですか?」


「なんで?」


「椅子がすごくあったかいので」


ちょうど信号で止まった時で、本田さんは私の顔を見て大爆笑した。


「おまえ、ほんっとにおもしれーな。


誰も座ってねーよ、ヒーターついてんの」


・・・うわ、恥ずかしい。


「あ、あの、お金お返しします。


立て替えていただいてありがとうございました」


恥ずかしさをごまかすのに、必死だった。


「落ち着けって、ちゃんと送ってくから」


「でも、うちの方向には向かってないですけど」


「まあいいじゃん、ちょっとドライブ」


加速していく車に身をまかせて、窓から夜景をながめていた。






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