イジワルな彼とネガティブ彼女
そういえば、どうして本田さんは平日の夜に車に乗ってるんだろう。


そもそも、こんな高級車を買えるって、大手企業はそんなに給料がいいんだろうか。


チラッと本田さんを横目で見ると、スーツじゃなくて私服だった。


カシミアの(たぶんだけど)高そうなグレーのタートルネックに、タートルより少し濃い目のグレーのコーデュロイジャケットをはおって、黒のジーンズをはいてる。


きっと全身、高級ブランドに包まれてるんだろうな。


「高橋、さっきから俺のこと観察してるけど、なに?」


・・・バレてた。


「いえ別に、高級車乗りまわして、高そうな洋服をお召しになって、大手企業はいいなーって思ってただけです」


「洋服は別に高くないけど。


スーツには気を使うけど、私服はファストファッションが多いし」


「そうなんですか、でも車は高いですよね」


「俺、小さい頃からミニカー集めたりして車が好きで、いつかこの車に乗りたいって思ってたんだよ。


だから、高校からのバイト代を少しずつ貯めて、やっと今年買ったわけ。


嬉しくてしょーがないから、たまにこうやってドライブしてんの」


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