イジワルな彼とネガティブ彼女
結局、本田さんのプレゼントだけを買って、その店を出た。


なぜかって聞かれたとしてもうまく答えられないけど、なんとなく同じお店で買うのは避けたかったからだ。


翼くんのプレゼントは、数軒先のブランドショップで選んだ名刺入れにした。


翼くんの持っている名刺入れが、少しくたびれていたのを思い出したからだ。


違うブランドの紙袋をひとつずつぶらさげて、カフェに入ってコーヒーを注文した。


窓際のカウンター席に座ったのは、もちろん一人っていうのもあるけど、窓からの冷気が欲しかったからだ。


慣れない買い物をして少し疲れて、ほてった体を休めたかった。


ここからだと、目の前の大通りを歩く人がイヤでも目に入ってくる。


逆にいえば、歩いている人からも私の姿は丸見えだってことだけど。


テーブルから下は曇りガラスになっているけど、知っている人がいたらお互いにわかる状態だ。


ま、ここで知り合いに会う可能性は限りなく低いけど。




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