狼陛下と仮初めの王妃
王妃に相応しき者
夜会が終わって部屋に戻ると、コレットはどう行動するべきか頭を悩ませていた。
陛下を守りたい!その気持ちだけは強いけれど、具体的にどうすればいいのか分からない。
そもそも先代の死因が分からないことには、どうにも防ぎようがない気がする。
いったいどうやって調べたらいいのか。
湯に入っていても、リンダが肌に香油を塗ってくれるときも、ずっと難しい顔つきをして唸っていた。
ドレッサーの前に座って髪を整えてもらっているが、心ここにあらずの状態だ。
そんな様子を見て、リンダはコレットの髪を整える手を止め、心配げに眉を下げた。
「コレットさま。なにかお悩みなんですか?」
「え、分かるかしら」
「はい。心配ごとがお有りなのが駄々漏れですわ。毎日お傍にいるこのリンダに、分からないはずがありません」
鏡ごしに見えるリンダは、気遣うように微笑んでいた。
夜会から帰ってからずっと、このことばかり考えていて、リンダと言葉を交わしていないことに気づいた。
いつもなら湯上りの時間は、お喋りに花を咲かせて笑っているのだ。
むっつりと難しい顔をしているコレットなど、リンダは初めて見るだろう。
「悩みというか、考えごとをしていたの」
「もしかして、夜会でなにかあったんですか?私にお話くだされば、スッキリするかもしれませんわ」