狼陛下と仮初めの王妃


「いいですか、コレットさま。確かに、先代さまは若くして亡くなられました。ですが、サヴァル陛下は違います!心身ともに大変お強い方です!それに、医師が頻繁に健康状態をチェックしておられます。ですから、愛するコレットさまを残して……なんて。そんなの、絶対にありえませんわ!!」


リンダはコレットの手をぎゅうぅっと握って、強く言い切る。

その勢いに圧倒されるやら、手が痛いやらで、コレットはたじろいでしまう。


「あの、えっと、そうなの?陛下が頻繁に健康チェックをしてるなんて、わたし初耳だわ?」

「はい。今は三日に一度されています。陛下は『必要ない。ひと月に一度で十分だ』とおっしゃるそうですが、アーシュレイさまが、そうさせません!しっかり体調管理がなされているんです」


リンダは、陛下の食事内容や量も、アーシュレイがきっちり把握していると言って目を強く輝かせる。


「アーシュレイさまが、万全になさっていますから、どうぞご安心くださいませ!」


コレットの頭に、眉間にしわを寄せて『必要ない』と断る陛下に対し、メガネを光らせて抑揚のない口調で進言するアーシュレイの様子が浮かんだ。

狼と呼ばれる陛下でも、彼の醸し出す“逆らっちゃいけないオーラ”には、勝てないと思える。



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