狼陛下と仮初めの王妃
健康管理については手を尽くされているようで、コレットは少し安心できた。
「ありがとう。でも、リンダはとても詳しいのね。アーシュレイとは、よく話をしてるの?」
リンダは、ポッと頬を赤らめて、恥ずかしそうにうつむいた。
「はい。毎朝お話をしています。お仕事のことが主ですけど。でも、毎回、“リンダがいてくれて、すごく助かります”と言ってくれるんです。それが、私の一日の活力源になっていますの」
リンダは瞳を潤ませて、うれしそうに微笑んだ。
その表情はとても綺麗で、コレットには、彼女の恋はきっといつか実るだろうと思えた。
その後少しおしゃべりをした後、リンダは夜の挨拶をして部屋を辞していった。
それからまもなくして、陛下が部屋にやってきた。
いつも静かに扉を開けて入ってくる彼は、音もなく近づいてくる。
そして、コレットが何をしていても、ふわりと抱き寄せるのだ。
最初の頃は驚いて声を上げていたコレットだけれど、今は幸せを感じるようになっている。
見上げれば、夜限定の甘い瞳をした彼がいる。
でも気のせいか、今夜はいつもと違って、鋭い光もあるように思う。
彼にとっても慣れない夜会だったので、疲れたのだろうか。
「陛下、今日はお疲れさまでした」