狼陛下と仮初めの王妃
メガネの騎士は、コレットの配達したミルクの数をチェックしていた。
陛下はウソや誤魔化しが大嫌いなお方で、もしも数を誤魔化していたらどんなお沙汰になっていたか分かりませんよ?と言って、冷ややかに笑う。
「あ、ちなみに参考までに言っておきますが、陛下の服の弁償代は、全部で五百万シリンですので。お沙汰を受ければそれが免除されます」
五百万シリン……。
それはとても一度に支払える額でなく、あのとき勧めにのって誤魔化さなくてよかったと、心底思う。
狼陛下のおそばにいるよりも、ずっとキツイ処罰になったかもしれないのだ。
そして、コレットは仮の王妃となる覚悟をしたのだった。