サイコパスゲーム
まだ、10時か...。

ふと思って、うなじを触った。

平和なときが、流れていた。

___いや、状況的には全く平和ではなかったのだが、


そういう空間を少しでも作ろうとしていたのかもしれない。


サイコパス役たちも、自分を落ち着けるように胸をさすっていた。


......たった1人を除いては。


「ふっざけんなっ!!!」


静かだったブースが、ひとりの女の声で掻き消される。


舞美ちゃんだった。

「なんでアタシがこんなゲームに参加させられなくちゃいけないわけ!?

はやく元の世界に戻してよっっ」


舞美ちゃんらしくなく、目に涙をたっぷりと溜め、怒鳴り散らしている。


愉快で愉快で仕方が無い。

俯いて、ひとりほくそ笑んだ。


ブース内は騒がしさを取り戻し、そうだそうだと言い始めるサイコパス役が続出した。


同調してくれる仲間がいることに調子づいたのか、

舞美ちゃんのトーンはさらに上がる。

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