サイコパスゲーム
「大丈夫!?ナツ」

「漂白剤でシャンプーだってよ...、辛っ」

どうやら、心配してくれているのではないようだ。

皆、好奇心で、近づいてきている。


『酷いイジメを受ける女生徒』を、見世物として見ているのだ。


まるで、中世ヨーロッパの処刑場のようだと思った。

処刑人が罪人の首を切り落とす時。

火炙りの刑に処す時。


いつでもギャラリー...傍観者という存在は必要不可欠だった。

そいつらはどこにでもいた。

酷い扱いをうける人を見て嘲り笑い、

好奇の目で見つめてくる。

そのくせ自分が処刑されるのは嫌なのだから、

勝手なものだ。

いま華たちは、そういう人たちと言えるだろう。


いざとなれば言い逃れすることもできる、一番楽で合理的なポジションだ。


正直いうとあたしは、舞美ちゃんたちよりも華たちの方が苛立った。


あたしは華たちを無視して、教室を飛び出したのだった。

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