待ち人来たらずは恋のきざし
・興味があったら何なのよ
「決まりだな」
「え?だから何?」
「止めないって、言っただろ?俺に興味が湧いたら。
だから、お試しは、もう終わりだ」
「え?」
「俺達はつき合うって事だ」
「あ、え?それが決まりって言った事?」
「そうだよ?」
そんな…そうだよって…。
「異論は無いはずだ。言って始めた事だろ?お試しって」
「…そうだけど」
「…景衣」
「…何でしょう。ん゙っ」
後頭部を押さえられた。そして…いきなりの、これは何?
「ん゙ーん゙っ。はぁっ、ちょっと!何…ぁ、ん。ん゛」
思いっ切り潰れるくらい唇を押し付けられた。
一度離れたと思ったら更にまた…。
今度のは、唇を食まれ続けている。ぁ…離れた。…はぁ。
「…景衣。おっと、大丈夫か?
…フ。何って。取り敢えずキスだ」
こ、し…、腰が…しゃがんでいるのに抜けそう。
「そ、そんなの解ってます、そうじゃなくて…」
辛うじて立ち上がった。
ピー。
「あ、風呂溜まった。俺、先に入っていいんだったよな」
「そうだけど、ちょっと、待ちなさい」
浴槽から離れて、男が脱衣所に行った。
「何。一緒に入るの?だったら、脱ぐ?」
「違う、…どうして急に…こんな」
「したかったからに決まってる。我慢してたんだから」
あ。もう。服を脱ぎ始めている。
「あ、もう。ちょっと、待って…」
どうして、こうも躊躇無く脱げるのか…目のやり場に困るから…待って。
「風邪ひくだろ。一緒に入らないなら、シッシッ」
「…もう、いい。どうぞ入ってください」
「直ぐ出るから待ってろ、後でな」
…何が、後でな、よ。待ってろって、何よ。
急に変わり過ぎでしょ…。何よ、もう。
言ったからって、すぐ何かしらしなくてもいいでしょ。
それも衝突するようなのしといて、後で甘いなんて…。ずるいじゃない。
本当、訳が解らないんだから、この男…。
少しはどんな人なのか教えて貰わなきゃ。何にもまだ知らないんだから。
そもそも…教える気はあるのだろうか。さっきの言い方だって…。
…だけど、だからと言って、改めたら特に聞きたい事も浮かばなくなって、…無いのよね。
だから、知るのは自然の流れの中でなきゃ。