待ち人来たらずは恋のきざし
「…ん、…景衣」
ベッドの中に居た。
シャワーから戻った男は、オムライスをあっという間に平らげ、次は、と言い、私をベッドに運んだ。
お風呂もまだだった事もあったし、無駄だと思ったけど抵抗して見た。
…無駄だった。
一度は抵抗してみたいんだろって言われた。
「今日は何か…違う日?」
「え?…何?」
何の事だかさっぱり解らない。
「今日は、発情する日?凄く感じる日なのか?」
「?…は、ば、ば、何、何言ってるの、よ」
「…何か、…違うから」
…何が、よ。
「景衣の反応が…」
…。あ。
「ぁ、いや、…あのね、それは。
今まで、聞いて見た事は無かったの?…つき合った相手の人とかに。
女は色々、日に因って違うの。
身体はとてもデリケートなの、…だから」
「ん、聞いた事なんか無い。
こんな微妙な違い、景衣にしか感じなかったから」
どういう感想…。しかも、そんなに…まだ…関係は持っていない方でしょ…。
今までの人はじっくり優しく抱かなかったの?…今より更に若かった頃は…激しかったのか。…何だか複雑…。
私は?…若く無いから、…優しくというより、労ってされているのだろうか。…。
だから微妙な反応の違いを感じ取ったの?
「あのね…。違うって言うなら、その…今は生理前だから、ちょっと違うの。
胸だっていつもよりちょっと張ってるし、だから、ちょっと触れても…敏感と言うか、…そんな感じになってる時なの」
「だから、か」
「…何…ゃ」
「ん?ほら…感じやすいから。胸…痛い?…ん」
あ、…。
「大、丈夫…、だから」
感じやすいとか、なんて事を言うのよ…それを先に言われて反応したら恥ずかしいじゃない。
私はね、貴方にこうして抱かれるのは、まだ二度目なのよ?…厳密には回数は違うけど。
…そんな事じゃないのよ。
こんな話をあーだこーだ、シている最中に、話したくないじゃない。敏感でもいいじゃない…。
「だから、無意識に連絡して来たんだろ。…シたくなったんだ。
身体が…自然と俺を呼んだんだ。欲しくなったんだろ」
そんなに言葉を変えて同じ事を繰り返さなくてもいいじゃない…。
「知らない…そんな事、解らない。もう…知らないから。
連絡したのは、無意識は無意識の事だったんです…。
でもご飯の事でだったでしょ?もういいですよね?保健の授業は」
「あぁ。…景衣。ついでって訳じゃないけどデリケートな事を聞く。
妊娠はしたらまずいのか?」
「えっ?今度は…、何…」
排卵日とか、妊娠に至る時期とかを話すの?
それとも、…今、そういう風にしたいって事を遠回しに言ってるの?
「妊娠は、いつしてもいいのか?
それとも駄目か。
それとも出来ない身体なのか。
どう思ってる?子供の事」
「こんな時に、そんな事、…聞かれても」
こんな…最中だから過ぎったのか…。
「ん…、考えてなんか無かったです、まだ。
だって、…妊娠とか、まだ…こんな関係に…なった…ん、ばっかり…ぁ」
はぁ、何を想定して考えたらいい話なの?
何にしてもいきなり過ぎる。本当、これは…デリケートな話じゃない。
それに今はもう答えられる状況じゃ…ない。
「ん、そうなんだけど。…ん、はぁ、待った。ヤバい…。
はぁ、…景衣、また、続きは風呂ででも話そう。ん゙。
…いいか?」
…どっちのいいかなのよ…、もおー。タイミングー。
…解んないじゃない。
「…もう…知らない、ぁ」
…好きにしてください。