天使がついてる
朝目覚めると天使がいた
家に帰るとすぐさまシャワーを浴び、パジャマに着替え、ベッドにダイブした。
「あーめんどくさい!」
高校の後期の係決めで、私はジャンケンに負けて体育委員に選ばれてしまったのだ。あんなの、スポーツができる声のデカいイケイケの女子がやるものだ。
今日の係決めでも体育委員は誰かイケイケ女子が1人くらい立候補するだろうと思っていたが、まさか誰もおらず、15分の1の確率のジャンケンで私が見事当選したのだ。
「あーーもう!!」
ベッドでじたばたする。
これからの体育委員の仕事を考えるたびに心が落ち着かなかった。
なんでよりによって私なんだろう。私は昔から人とコミュニケーションをとるのがあまり得意ではない。そんな自分が大声張り上げて皆をまとめるなんて想像もつかない。
そして、一番嫌なのは体育の体操は男女一緒なとこだ。私は昔男子にいじめられていた経験で、怖いというかむしろ嫌いになっていた。
教室でもかなり地味な方の私が体操で声を張り上げていたらここぞとばかりに笑いのターゲットになるに違いない。
もう寝ちゃえ…
今日は金曜ロードショーをチェックする気にもなれない…
眠れないと思っていたけど、イヤホンで好きな音楽を聞いて目を閉じていたらじわじわと意識が沈んでいくのを感じた。
もういいや…何にでもなれ…
ーーー
ー
光が差し込んできた。朝だ。
目覚めたはずなのに瞼は重かった。
ずっとこうしていたい。何かすごく幸せな夢を見ていた気がする…。
あ、そうか。土曜日だ。だから何か幸せなんだ…。
朦朧とする意識の中、寝返りをうった。
白。まず目に飛び込んできたのはそれだった。
人がいた。
体が硬直する。
少年だ。
少し褐色の肌の外国人の少年が私の顔を覗き込んでいた。
目がくらむくらい真っ白な、ローブのような服。
そして、背中に大きくて柔らかそうな翼が生えていた。
「君…誰?」
私は何とかその一言だけ声を絞り出した。