せんぷうき
「…佐藤キヨカズ。バレーは小学生からやってます。希望ポジションはレフト。以上です。」
話し終えた後、さっさと席に戻ってしまったキヨに、誰も何も言わなかった。
「あ、はい、キヨカズ君ありがとう。じゃあ1年生席に戻ってね。ではこれから簡単に、2・3年の紹介をします。まずはこの俺、マサから…」
気をつかったキャプテンが、場を盛り上げようとしていたけど、みんな視線はキヨに向かっていた。
羨望の目、好奇心の目、そして先輩たちの中には、あきらかに不快な顔をしている人がいた。
私は、キヨではなく、キヨを見るみんなを眺めていたのを覚えている。