ヤンキーやめます!
低いエンジン音が校門の方から聞こえてきた。
あいつらだ。
あたしがそっちを見たのと同じように、ここにいたたくさんの人たちが一斉に校門の方を見た。
もちろん、あの男の子も。
「うわ~、ヤンキーじゃん」
あの男の子と話していた友達が嫌そうに彼に言った。
「怖ぇよな~」
その友達は同意を求めるように言う。
「そうだな。俺も、ヤンキーはちょっと苦手かも」
苦笑いした彼は、バスが来たのか、人の波に飲み込まれて、そのまま見えなくなってしまった。
大勢いた生徒たちも、バス停の方へ行ってしまい、ちらほらと人が残るだけ。
しんとした校舎の中で、あたしの頭の中には、さっきの言葉が繰り返されていた。
ヤンキーはちょっと苦手かも
苦手かも
かも
かも…
彼の一言がエコーがかかったみたいに何度も何度も繰り返された。