ヤンキーやめます!


遊びつくした春休みを越えて、あたしはここに立っていた。



三回折ったスカートからのぞく赤い中学の頃のジャージ。



何度も染めていたんでしまった背中の真ん中くらいまである茶色い髪。



大好きな仲間に誕生日にもらった金色のネックレス。



あたしの格好のすべてがこの場所になじんでいない、そんな気がした。



「あの~…」



ぼけっと立っていたあたしの視界に、遠慮がちに話しかけてくる男の子の姿が入ってきた。



「写真、とってもらえませんか?」




少し大きな制服は、他の新入生と違って、彼なりに着こなしている。




寝癖なんてついていない髪の毛は、少しだけワックスで整えてある。




なによりも目を引くのが、顔。




爽やかな笑顔をまとったその顔は驚くほど整っている。



はっきり言って、イケメン…。
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