ヤンキーやめます!

「俺の顔に、なにかついてます?」



彼はぼーっと顔を見つめるあたしを不思議そうに覗き込む。



「あっいや!全然!」



あたしはおおげさに首を振って差し出されたスマホを受け取った。



わあ、少しも画面が割れてない。



あたしの画面がバキバキに割れたスマホとは大違いだ。



「はい、チーズ」



カシャッと音がして、看板の前で嬉しそうに微笑む彼の姿が保存された。



このいかにも入学式という雰囲気にものすごくマッチしている。



「ありがとうございます」



礼儀正しくお礼を言う声が上から降ってきた。



顔を上げると、彼の顔がすぐ近くにあった。



「うわぁぁ!」


驚いて、思わずのけぞってしまう。



彼は笑いながらスマホを受け取った。


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