1405号室の佐藤
あたしは目の前のウイスキーをつかんで、瓶ごとぐびぐびとあおった。
「おっ、いい飲みっぷりじゃねえか!」
佐藤が嬉しそうにからから笑う。
その顔が赤くなっているところを見ると、だいぶ酔っ払ってきたらしい。
「あっ、そーだ!」
佐藤が唐突に、何かを思いついたように手を打った。
何事かと目を向けると、佐藤はあたしのスマホを指差している。
「………なに?」
「今から電話しちゃえよ!」
「はっ!?」
驚愕するあたしを尻目に、佐藤は勝手にスマホを手に取り、あたしに押し付けてきた。
「ちゃんと話しあって、言いたいこと言ってねえから、そんなに未練たらたらなんだよ。今から電話して直接はなせばいいじゃん。別れ話メールで済ますなんて、ろくなもんじゃねえ」
「そ、そんなこと急に言われても……」
スマホを持った手が、勝手にかたかたと震えだした。
直接別れを切り出されるとか、そんなの、怖すぎる。
だって、まだ…………
浮気されて、一方的に捨てられて、そんな仕打ちを受けてもまだ、あたしはあいつが……ユウジが好きなんだもん。
別れようって最初にメールをもらったときも、信じられなくて。
こんなことしたらウザい女だって分かってたけど、なんで?どうして?って何回も訊いて。
他に好きな子がいるって言われても、あたしと会ったら気持ちが変わるんじゃないかって思って、もう一回会いたいって、しつこく言って。
なんてみっともないことしてるんだろう、って自分でも思ったけど、どうしてもすぐには諦められなかった。
そんなやりとりをしているうちに、ユウジは面倒になったのか、ずっと二股かけてたんだって打ち明けてきたのだ。
「おっ、いい飲みっぷりじゃねえか!」
佐藤が嬉しそうにからから笑う。
その顔が赤くなっているところを見ると、だいぶ酔っ払ってきたらしい。
「あっ、そーだ!」
佐藤が唐突に、何かを思いついたように手を打った。
何事かと目を向けると、佐藤はあたしのスマホを指差している。
「………なに?」
「今から電話しちゃえよ!」
「はっ!?」
驚愕するあたしを尻目に、佐藤は勝手にスマホを手に取り、あたしに押し付けてきた。
「ちゃんと話しあって、言いたいこと言ってねえから、そんなに未練たらたらなんだよ。今から電話して直接はなせばいいじゃん。別れ話メールで済ますなんて、ろくなもんじゃねえ」
「そ、そんなこと急に言われても……」
スマホを持った手が、勝手にかたかたと震えだした。
直接別れを切り出されるとか、そんなの、怖すぎる。
だって、まだ…………
浮気されて、一方的に捨てられて、そんな仕打ちを受けてもまだ、あたしはあいつが……ユウジが好きなんだもん。
別れようって最初にメールをもらったときも、信じられなくて。
こんなことしたらウザい女だって分かってたけど、なんで?どうして?って何回も訊いて。
他に好きな子がいるって言われても、あたしと会ったら気持ちが変わるんじゃないかって思って、もう一回会いたいって、しつこく言って。
なんてみっともないことしてるんだろう、って自分でも思ったけど、どうしてもすぐには諦められなかった。
そんなやりとりをしているうちに、ユウジは面倒になったのか、ずっと二股かけてたんだって打ち明けてきたのだ。