1405号室の佐藤
―――こわい。
どうしよう………。
ごくり、と喉が鳴った。
そのとき。
「………俺が見ててやるから」
佐藤が、突然、あたしの手を握って、囁くようにそう言った。
初対面の男にいきなり手を握られたんだけど、不思議と嫌な感じはしなかった。
それは、その触れ方が、とても優しかったからかもしれない。
にっと笑った佐藤の目も、やわらかく細められていて、すごく優しかった。
「…………うん。かけてみる」
あたしは頷いて、ユウジの番号をタップした。
もしかしたら、ユウジは出てくれないかもしれない、って思ったけど。
《………もしもし、楓?》
久しぶりのユウジの声だった。
かえで、とあたしの名前を呼ぶ、大好きだったユウジの低い声。
きゅう、と胸が締めつけられるような気持ちになった。
「………急に、ごめんね。いま大丈夫?」
《あぁ、うん………大丈夫》
ユウジはやっぱり、こんな時にも優しかった。
あたしはユウジの優しいところが好きだった。
見た目もかっこよくて、好みだったけど。
大学の学科が同じで、ときどき話すくらいの間柄だったときから、何よりも、やわらかい物腰と優しい笑顔に夢中だった。
少しずつ距離が縮まって、ユウジから「付き合おっか」って言われたときは、泣きそうなくらい嬉しかった。
あたしは6年も前からユウジ一筋だったのだ。
どうしよう………。
ごくり、と喉が鳴った。
そのとき。
「………俺が見ててやるから」
佐藤が、突然、あたしの手を握って、囁くようにそう言った。
初対面の男にいきなり手を握られたんだけど、不思議と嫌な感じはしなかった。
それは、その触れ方が、とても優しかったからかもしれない。
にっと笑った佐藤の目も、やわらかく細められていて、すごく優しかった。
「…………うん。かけてみる」
あたしは頷いて、ユウジの番号をタップした。
もしかしたら、ユウジは出てくれないかもしれない、って思ったけど。
《………もしもし、楓?》
久しぶりのユウジの声だった。
かえで、とあたしの名前を呼ぶ、大好きだったユウジの低い声。
きゅう、と胸が締めつけられるような気持ちになった。
「………急に、ごめんね。いま大丈夫?」
《あぁ、うん………大丈夫》
ユウジはやっぱり、こんな時にも優しかった。
あたしはユウジの優しいところが好きだった。
見た目もかっこよくて、好みだったけど。
大学の学科が同じで、ときどき話すくらいの間柄だったときから、何よりも、やわらかい物腰と優しい笑顔に夢中だった。
少しずつ距離が縮まって、ユウジから「付き合おっか」って言われたときは、泣きそうなくらい嬉しかった。
あたしは6年も前からユウジ一筋だったのだ。