夜界の王


畑を持っているため、アーシャたちほど困窮した生活はしていない。にもかかわらず、まったくこちらを援助しようとはせず、看病もしなければ食料を与えてくれるようなこともしない。

血の繋がった家族なのに、ここまで無関心になれるものだろうかとアーシャはいつも理解できなかった。


グレンダの家に世話になるのは気が進まない。

だがアーシャに養い親を選ぶ権利など無い。グレンダ以外に身内もいないし、他のどこもアーシャを引き取れる家もないのだ。

頭では理解していても、母に対するグレンダの態度は許しがたいものがあったし、なにより家族をないがしろにする人物と共に暮らしていける自信がなかった。



葬儀が終わり、村のみんなは順々に帰って行くなか、アーシャは墓の前から動けなかった。

誰もいなくなり、辺りが薄暗くなり始めるまで、アーシャは母が埋まる土のそばにしゃがみこんでいた。


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