秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~

「でも、私で本当にいいのでしょうか。エリーゼじゃなくても、私よりいい条件の令嬢はたくさんいらっしゃいます。ベルンシュタイン伯爵家のことを思えば、もっと歴史ある貴族のほうが……」

「俺はあなたがいいのです。それに、……俺と結婚することはそんなに楽しいものでもありませんよ。姑になる母は結構手ごわいです。苦労をさせないとは言えません。でも俺は、……一緒に生きてほしいのです」

「私……」


コルネリアは考えをまとめるように、ゆっくり目をつぶる。ピンと立った背筋、すっと整った目鼻立ちは彼女を聡明そうに見せる。

ギュンターには、その姿が凛と咲く白薔薇のように見えた。
彼女は自分の中できちんと答えを見つけるだろう。消して流されるのではなく、未来を見つめようとしている。
しばらくして、コルネリアはやっと目と口を開いた。


「……私は、あなたを助けることができますか?」

「もちろん。あなたは、俺が暴走したときに止めることができる。先ほど、公爵相手に暴言を吐いたときに諫めてくれたようにね。そして俺はあなたの言葉なら受け入れられる。あなたを信頼しているからです。……信頼できる相手と共に歩めるなら、怖いことなど何もありません」

「でしたら私もそうです。白薔薇をいただいた時から、私の気持ちはあなたのものです」

「俺はその前からだ」


ギュンターはコルネリアの頬に手を当て、顔を上げさせた。

内容の濃い一晩に、彼女の顔には疲労の色が見て取れる。
その目元に、鼻に、頬に、キスをする。

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