秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
相変わらず夢見がちなことを言うエリーゼに、思わず笑ってしまいそうになる。
でも、素直に信じられるエリーゼだからこそいいのだろう。
恋をした相手を信じられなければ人生はつまらない。信頼されればこそ、ヴィリーも死ぬ気で働くに違いない。
今までだったら心配しかできなかったコルネリアも、今はそうなったら素敵だ、と素直に思えた。
「それよりコルネリアのほうこそ、昨晩何があったの? その白薔薇、あなたに似合っているけどギュンター様からもらったもの?」
もう昼に近い朝、目覚めたコルネリアが着替えを終え、家まで持ち帰ろうと白薔薇を手に部屋を出ると、待っていたギュンターが、キスとともに胸に刺してくれたものだ。
『花は飾るためにあるのですよ。一瞬でも、記憶には一生残る。あなたには凛とした花が似合いますね』
慣れない甘い言葉に、コルネリアはどう返していいかわからなかったが、ギュンターがそういうならば保管するよりも飾ったほうがいいように思えた。
「ええ。いろいろあったわ。長くなるからその話はまた今度ね」
「それにしても、コルネリアとギュンター様がうまくいくとは思わなかったわ」
「それなんだけど。……エリーゼは本当にいいの? 彼はとても素敵な人だわ。実物を見て、縁談を受ける気にはならなかった?」
コルネリアは不安から、両手を合わせて強く握りしめた。
エリーゼはキョトン、として彼女を見つめた後、あきれた顔でため息をつく。