秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~

「……綺麗」

ようやく落ちついてあたりを見回す余裕が出てきた。

薔薇園にはコルネリア以外にも人がたくさんいる。

今いる場所は両側まで目線の高さの生垣に囲まれているため、はっきり何人とまではわからないが、つま先を立てて仰ぎ見れば、肩を抱きながら歩く男女のふたり組やすでに仮面を外して、見つめあっているカップルを見つけることができた。

なんだか気後れして、コルネリアは自然にため息をこぼす。

こんな短期間で、恋は実を結ぶものか。
もしくはこの場限りのものとして割り切っているのだろうか。

その自由さが自分には持てないと思いながらも、コルネリアは羨ましくも感じていた。


エリーゼも今頃、愛しの彼と会っているのだろう。周りのことなど全く目に入っていないくらいの入れ込みようだったから、きっと一目散に約束の場所に行ったに違いない。

本当に駆け落ちにまで及ぶのかという不安はあるが、コルネリアはできれば男のほうが現実を見て思いとどまってくれるのを願っていた。

彼女たちの破局を願っているわけじゃないが、もっと別の方法で、公爵夫妻を納得させる手を考えたほうがいい気がするのだ。

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