秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
*
コルネリアがヴィリーを追うように出て行ったのを見送ったクラウスは、ギュンターへ意味ありげな視線を送った。
「……コルネリア嬢は怪しいな」
彼の問いかけに、ギュンターは押し黙る。
確かに、彼女の証言や態度に、引っ掛かりを覚えないわけではない。
しかし、それ以上に、第六感に近い部分が彼女の潔白を主張していた。
ギュンターは息を吸って、疑念のまなざしを向ける男へ問いかけた。
「どうしてそう思う?」
ギュンターの問いかけに、クラウスは「だってそうだろう」と続けた。
「そもそもエリーゼとコルネリア嬢が衣装を交換するというのがおかしい。従妹だからよく知っているけどね、エリーゼは派手好きの根っからのお嬢様だよ。色合いも明るいものを好む。コルネリア嬢の言うような服は、趣味ではないはずだ」
「だから、気分を変えたかったのだろう。お前だって俺にこんな派手な服を着せたくせに」
「いや、ギュンターは似合っているぞ」
「似合う似合わないは置いておいて、趣味ではないな。でも仮面舞踏会と思えば、いつもと違う衣装でもいいかと思った。エリーゼ嬢にも同じことが言えるだろう」
自分が感じたとおりのことを言えば、クラウスもううんと唸った。
「まあな。でも他にも疑問に思うふしはある。ふたりは従妹だというが、俺の記憶が正しければ、ベレ伯爵夫人は領内の男爵家出身だったはずなんだ。つまり、彼女は嘘をついている」
「それは本当か?」
身を乗り出すようにしてきたギュンターにクラウスは楽しそうに続ける。
コルネリアがヴィリーを追うように出て行ったのを見送ったクラウスは、ギュンターへ意味ありげな視線を送った。
「……コルネリア嬢は怪しいな」
彼の問いかけに、ギュンターは押し黙る。
確かに、彼女の証言や態度に、引っ掛かりを覚えないわけではない。
しかし、それ以上に、第六感に近い部分が彼女の潔白を主張していた。
ギュンターは息を吸って、疑念のまなざしを向ける男へ問いかけた。
「どうしてそう思う?」
ギュンターの問いかけに、クラウスは「だってそうだろう」と続けた。
「そもそもエリーゼとコルネリア嬢が衣装を交換するというのがおかしい。従妹だからよく知っているけどね、エリーゼは派手好きの根っからのお嬢様だよ。色合いも明るいものを好む。コルネリア嬢の言うような服は、趣味ではないはずだ」
「だから、気分を変えたかったのだろう。お前だって俺にこんな派手な服を着せたくせに」
「いや、ギュンターは似合っているぞ」
「似合う似合わないは置いておいて、趣味ではないな。でも仮面舞踏会と思えば、いつもと違う衣装でもいいかと思った。エリーゼ嬢にも同じことが言えるだろう」
自分が感じたとおりのことを言えば、クラウスもううんと唸った。
「まあな。でも他にも疑問に思うふしはある。ふたりは従妹だというが、俺の記憶が正しければ、ベレ伯爵夫人は領内の男爵家出身だったはずなんだ。つまり、彼女は嘘をついている」
「それは本当か?」
身を乗り出すようにしてきたギュンターにクラウスは楽しそうに続ける。