秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
**
コルネリアを見つけ出したのは、ルッツが先だった。
彼は、コルネリアと騎士の男が馬房のほうに向かうのをみつけ、屋敷に踵を返し、主人にそう告げた。
「馬房? 不思議なところにいくな」
「人気のないところを探していたようでしたよ。夜会ではよくあるじゃないですか。……ギュンター様、もしかして横恋慕中なのですか? 騎士からあの女性を奪おうとなさっている?」
ルッツの想像に力が抜けそうになる。
まったく平和な従者だ。クラウスに小者扱いされるのも仕方ない気がする。
けれどギュンターはルッツのことが気に入っていた。間抜けではあるが、悪意がない。一緒にいると癒されるのだ。
「まあそういうところかな。ルッツは屋敷に戻っていていいよ。俺が行くから」
「殺傷沙汰はだめですよ。ギュンター様は大切な御身なんですからね」
「肝に銘じるよ」
軽く手を振って、ギュンターは駆け出した。
それにしても馬房というのは意外だった。
恋を語る男女が行き着く場所といえばこの宮では薔薇園以外にはない。
ロマンチックさにおいて、あそこに勝る場所はないからだ。
馬房付近は人こそいないけれども、馬糞の匂いも強い。
逢瀬に選ぶ場所ではないと思えば、いよいよクラウスの説も信ぴょう性を増してくる。
人に聞かれたくない話をするからそこに行くのだ。
もしそれが悪だくみなら?
ふたりが結託してエリーゼを陥れのだとしたら、ここで打ち合わせをするのか?
コルネリアを見つけ出したのは、ルッツが先だった。
彼は、コルネリアと騎士の男が馬房のほうに向かうのをみつけ、屋敷に踵を返し、主人にそう告げた。
「馬房? 不思議なところにいくな」
「人気のないところを探していたようでしたよ。夜会ではよくあるじゃないですか。……ギュンター様、もしかして横恋慕中なのですか? 騎士からあの女性を奪おうとなさっている?」
ルッツの想像に力が抜けそうになる。
まったく平和な従者だ。クラウスに小者扱いされるのも仕方ない気がする。
けれどギュンターはルッツのことが気に入っていた。間抜けではあるが、悪意がない。一緒にいると癒されるのだ。
「まあそういうところかな。ルッツは屋敷に戻っていていいよ。俺が行くから」
「殺傷沙汰はだめですよ。ギュンター様は大切な御身なんですからね」
「肝に銘じるよ」
軽く手を振って、ギュンターは駆け出した。
それにしても馬房というのは意外だった。
恋を語る男女が行き着く場所といえばこの宮では薔薇園以外にはない。
ロマンチックさにおいて、あそこに勝る場所はないからだ。
馬房付近は人こそいないけれども、馬糞の匂いも強い。
逢瀬に選ぶ場所ではないと思えば、いよいよクラウスの説も信ぴょう性を増してくる。
人に聞かれたくない話をするからそこに行くのだ。
もしそれが悪だくみなら?
ふたりが結託してエリーゼを陥れのだとしたら、ここで打ち合わせをするのか?