秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
*
広間から流れる音楽は、夜の深まりとともにゆったりとした音階のものに変わっていく。
それを耳にとらえながら、コルネリアは居心地の悪い空間で小さく縮こまっていた。
今は一階の応接室にいる。
低いテーブルを挟むようにソファがおかれ、正面にバルテル公爵とクラウス王子殿下。コルネリアの隣にはギュンターが座っている。
天井のシャンデリアもまばゆく、内装に凝った豪華な部屋の中で、場違いなくらい慌てた様子で公爵が怒りをあらわにする。
「そもそも、今日の舞踏会への参加は私は反対していたんだ。それなのにエリーゼは、ここにいるコルネリアに唆されて……」
ああまた……とコルネリアは胃を押さえながら目をつぶる。
バルテル公爵は昔から、コルネリアとエリーゼが親しくするのをよく思ってはいないのだ。
ベレ家は港の拡張事業で名を挙げた商家あがりの新興の伯爵家だ。
爵位を授かってすぐに、金の力で歴史あるアーレンス侯爵家から妻を迎えたものの、娘コルネリアが生まれてしばらくして離婚。現在は領土内の男爵家から妻をめとり、さらに一男一女を授かっている。
その成り上がりの娘と、公爵である自分の娘が仲良しなどと言われるのは嫌だったのだろう。
しかし、コルネリアの実母と、バルテル公爵の妻は姉妹である。
コルネリアの実母は、ベレ伯爵と別れたあと再婚したが長らく子供ができず、子供恋しさによくコルネリアを呼びつけていた。
その呼び出し先が公爵家である。
再婚先には呼べないし、実家に呼ぶとベレ家の反感を買う。
困りあぐねた彼女に、「だったら同い年の従妹もいるんだからうちで会えばいいわ」といったのがバルテル公爵の妻だったのだ。
広間から流れる音楽は、夜の深まりとともにゆったりとした音階のものに変わっていく。
それを耳にとらえながら、コルネリアは居心地の悪い空間で小さく縮こまっていた。
今は一階の応接室にいる。
低いテーブルを挟むようにソファがおかれ、正面にバルテル公爵とクラウス王子殿下。コルネリアの隣にはギュンターが座っている。
天井のシャンデリアもまばゆく、内装に凝った豪華な部屋の中で、場違いなくらい慌てた様子で公爵が怒りをあらわにする。
「そもそも、今日の舞踏会への参加は私は反対していたんだ。それなのにエリーゼは、ここにいるコルネリアに唆されて……」
ああまた……とコルネリアは胃を押さえながら目をつぶる。
バルテル公爵は昔から、コルネリアとエリーゼが親しくするのをよく思ってはいないのだ。
ベレ家は港の拡張事業で名を挙げた商家あがりの新興の伯爵家だ。
爵位を授かってすぐに、金の力で歴史あるアーレンス侯爵家から妻を迎えたものの、娘コルネリアが生まれてしばらくして離婚。現在は領土内の男爵家から妻をめとり、さらに一男一女を授かっている。
その成り上がりの娘と、公爵である自分の娘が仲良しなどと言われるのは嫌だったのだろう。
しかし、コルネリアの実母と、バルテル公爵の妻は姉妹である。
コルネリアの実母は、ベレ伯爵と別れたあと再婚したが長らく子供ができず、子供恋しさによくコルネリアを呼びつけていた。
その呼び出し先が公爵家である。
再婚先には呼べないし、実家に呼ぶとベレ家の反感を買う。
困りあぐねた彼女に、「だったら同い年の従妹もいるんだからうちで会えばいいわ」といったのがバルテル公爵の妻だったのだ。