秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
*
しばらくそうしていただろうか。
ノックの音に、コルネリアは慌てて目じりをぬぐった。
「入っても?」
「はい」
泣いていたからかすれたような声しか出ない。
喉を抑えて何度か咳払いしているうちに扉が開く。そして入ってきた男性を見て、コルネリアは息をのんだ。
「……ギュンター様」
エリーゼ捜索の陣頭指揮を執るといった彼がなぜここに。
信じられず彼を見つめると、彼は苦笑してコルネリアの目尻へと手を伸ばした。
大きな手にそっと涙を拭われて、息を吐き出すタイミングを見失った。
「大丈夫ですか? 公爵はずいぶんあなたへの態度が厳しいようだ」
「あ……、これは。すみません。公爵様の言葉に傷ついているわけじゃないんです」
慌てて顔を隠そうとするも、その手はギュンターによって握られる。
両手首を押さえられ、隠しようもなくなった顔は俯くことで彼の視界から外した。
「そう顔を隠そうとしないで。せっかく仮面を外して顔を見れるようになったのです。ちゃんと見せてください」
近づいてくるギュンターの端正な顔に、コルネリアはパニックになる。
「は、離してくださいっ」
「おっと、痛かったですか? これは失礼。……かけませんか。あなたのお話も伺いたい」
ギュンターは掴んでいた手を離すと、今度は優雅に彼女の手を取って、椅子まで誘導する。
微笑みをたたえた顔は優しく、そんな場合じゃないのにドキドキが止まらない。
しばらくそうしていただろうか。
ノックの音に、コルネリアは慌てて目じりをぬぐった。
「入っても?」
「はい」
泣いていたからかすれたような声しか出ない。
喉を抑えて何度か咳払いしているうちに扉が開く。そして入ってきた男性を見て、コルネリアは息をのんだ。
「……ギュンター様」
エリーゼ捜索の陣頭指揮を執るといった彼がなぜここに。
信じられず彼を見つめると、彼は苦笑してコルネリアの目尻へと手を伸ばした。
大きな手にそっと涙を拭われて、息を吐き出すタイミングを見失った。
「大丈夫ですか? 公爵はずいぶんあなたへの態度が厳しいようだ」
「あ……、これは。すみません。公爵様の言葉に傷ついているわけじゃないんです」
慌てて顔を隠そうとするも、その手はギュンターによって握られる。
両手首を押さえられ、隠しようもなくなった顔は俯くことで彼の視界から外した。
「そう顔を隠そうとしないで。せっかく仮面を外して顔を見れるようになったのです。ちゃんと見せてください」
近づいてくるギュンターの端正な顔に、コルネリアはパニックになる。
「は、離してくださいっ」
「おっと、痛かったですか? これは失礼。……かけませんか。あなたのお話も伺いたい」
ギュンターは掴んでいた手を離すと、今度は優雅に彼女の手を取って、椅子まで誘導する。
微笑みをたたえた顔は優しく、そんな場合じゃないのにドキドキが止まらない。