秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
疑われているはずなのに、どうしてこんな丁重な扱いを受けるのだろう。
彼の本心がわからず、コルネリアは困り果てた。
「そう警戒しないで。先に言っておきます。俺はあなたを疑ってはいない」
「え?」
「あなたがエリーゼ嬢を心配しているのは確かなことだと思うからです。しかし何か隠しておられるでしょう。それを明らかにしてもらえなければ、エリーゼ嬢を探すとっかかりがつかめない。だからあなたに会いに来たんですよ」
穏やかな声で、少しも目をそらさずにそう言われて、コルネリアは張りつめていた気持ちがほぐれるのを感じた。
するとまた涙が浮かんでくる。普段こんなに感情的になることはないのに、恋とはこんなに人を変えてしまうものなのか。
視界の中のギュンターが、近づいてきて苦笑する。
「ほら、泣かないで」
頬を伝う涙を、大きな手が優しく拭ってくれる。
「……っ、すみません」
「謝ることはありませんよ。ただ、あなたが一人で抱えていることを話してほしい。俺は味方です。……信用してほしい」
優しいまなざしだった。何もかも、彼に預けてしまいたくなる。
ああエリーゼ。今なら駆け落ちすると夢見るように言ったあなたの気持ちがわかる。
こんな風に心をときめかすことを知ってしまったら、ほかの男性になど触れられるのも嫌だと思うだろう。
「……話しても、いいのかしら」
「ええ」
「私にはわからないのです。あなたに話すことが、本当にエリーゼの利になることなのかどうか」
「少なくとも不利にはならないと思いますよ。彼女を見つける上で情報は有用だ」
「でも……」