秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
「絶対にエリーゼを見つけ出します」
「その意気だよ。頼んだよ、ヴィリー」
ギュンターは彼の背中を軽く叩くと、屋敷の方に向かう。
戸口ではルッツが待っていた。
「ああもう、ギュンター様どこに行っていたんですか!」
「ああルッツ、ちょうどいい。ヴィリー、このルッツに騎士団で保有する一番の早馬を貸してはもらえないかな」
「え? はい」
「俺からの指示だと言って騎士団長と掛け合ってきてくれるか?」
「はい!」
走って詰め所へ向かうヴィリーを見送って、ギュンターは屋敷の侍女にペンを借り受ける。
「ルッツ、早駆けは得意だろう。急いで屋敷に戻って父上に渡してほしいものがある」
「今からですかぁ?」
「そうだ。お前の乗馬の腕なら深夜には戻ってこれるね? 悪いが急ぎなんでね。休憩は認めないよ」
「はあ。分かりました。でも馬にもよりますからね」
「だから一番の早馬を頼んだだろう。……ほら、出来た。火を貸してくれ、封ろうをする」
「げ。これ、第二王子の印じゃないですか。いいんですか勝手に使って」
「許可は取ってあるよ。いいからお前は早く出発しろ。父上にその場で確認してもらって、頼んだものを預かってきてほしい」
「分かりました。滅多にないギュンター様のお願いですからね。速攻で行ってまいります」
「頼むよ」
そこへ、ヴィリーが息を切らせて戻ってきた。