秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~

一緒に門前まで来て、ルッツを送り出す。

そして、ヴィリーに耳打ちした。


「君がエリーゼ嬢を追いかけたときにここにいた見張りは彼かい?」


門番は交代制だ。通常はふたり体制でつくものだが、今もひとりしかいない。


「もう交代したようですね。今は緊急事態になっていますが、通常の夜会は貴族の方々が嫌がるので警備は甘いんです。ふたりずつという基本規則にはなっていますが、ひとりが門で待機し、もうひとりが見回るということも多々あります」

「ふうん、分かった。さて、じゃあ捜索の方の話をしよう。君と数人で馬を出してここに書いたルートを順に回ってきてもらいたい。二頭立ての大型の馬車を見なかったかと、エリーゼらしき女性を見なかったかと聞いて回るんだ。もし、途中でエリーゼ嬢を見つけたなら君が必ず保護するんだ。相手がもしまだ馬車に乗っているようなら、退路を塞いでここまで誘導しておいで。騎士団の手練れを四人も連れていけば可能だろう?」

「はい。では準備をしてまいります」

「もし反撃された場合もとどめは必ずお前が差すんだよ、ヴィリー」

「もちろんですとも!」


ヴィリーが準備のため詰め所に戻る間、ギュンターは門番に話しかけた。

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