秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~


馬車の男たちは、騎士団に捕らえられ一室に入れられ、尋問は騎士団長にゆだねられた。


「起き上がれるかい?」


クラウスはいまだ地面に座り込んでいるエリーゼに手を伸ばした。


「ええ。あ、でも」


立ち上がりかけた彼女が膝から崩れそうになり、クラウスがそれを支えた。


「口元を覆われてから意識がないと言っていましたね。もしかしたら薬をかがされたのかもしれません。まあ眠らせるだけの害のないものだとは思いますが」


ギュンターがそういうと、エリーゼはキッと顔をあげ、自分の足元に倒れているヴィリーを見つめる。


「今はそんなことはどうでもいいのです。早くヴィリーの怪我を手当てしてくださいませ」

「もちろんですとも」


ギュンターはそれをうけおい、騎士団に担架を持ってくるように指示を出したが、ヴィリーは自ら起き上がった。


「大丈夫です。起きれます……いてっ」

「きゃあ、ヴィリー、しっかりして」


支えていたクラウスを押しのけて、ヴィリーを支えようとするエリーゼは、なるほどコルネリアがあれほど大切にしようとするのが納得できるかわいらしさだ。


「まずはヴィリーの手当てを。そしてあなたからもお話を伺いたい。みんな屋敷に戻るということにしないかい?」

「そうだな」


ギュンターの提案に、エリーゼもヴィリーも頷いた。
結局、ヴィリーは同僚の騎士に肩を借りて自分で歩いた。エリーゼはそんな彼を何度も振り返りながらもクラウスと話している。

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