空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
プロローグ

空に輝く六つの蒼い星。




それはまるでだれかの願いのように、鮮やかな光を放っている。




星に願いを、っていう古い歌がある。




だとしたら、私が願うことなんて、たったの一つだけだ。




もう一度、彼と会わせてください。





この夏の間だけでも、たとえ幽霊でも何でもいいから、彼にもう一度会わせてください。





ただ、それだけ。




それ以上でもそれ以下でもない。




それがたった一つの、私の願い。




だから私は星に願う。




彼にもう一度会わせてください、




彼とずっといっしょにいさせてください、と――









   ***********




私は幽霊なんて信じていない。




そんなもの、子どもが信じている空想で、物語の中にだけあるもので、現実にはあり得ないものだ。




そう、思っていた。




ずっとずっと、そう信じていた。




その時までは。




だけど。




それは突然、私の前に現れた。




あの日から、ちょうど一年ほどが経った、暑い暑い夏の昼間。






「――あれ、ここ、どこだよ?」






あいつは、ノンキにそんなことを言いながら、私の部屋の中にぷかぷかと浮かんでいた。




制服の向こうの風景が透けて見える、半透明な身体で。




「あ、え……」




突然のことで、私は声を出すことすらできなかった。





部屋のテーブルに置かれた、蒼い色をしたガラス瓶とミニプラネタリウムとが、この光景が現実であることを示すかのようにたたずんでいる。





目の前に現れたあまりに非現実的な存在に、酸欠になった金魚みたいに口をぱくぱくさせることしかできなかった。





そんな私に、昴は言った。





「ん、何で梨沙がいんの?」





「な、何でって、それは私がききたいんだけど……」





ここは私の部屋だ。





私がいるのは当たり前だけど、昴がいるのはおかしい。





「え、あ、そうなのか? へー、意外、きれいにしてんだな。それにいい匂いがする」




「ちょ、ちょっと、かがないでよ!」




くんくんと犬みたいに鼻を鳴らす昴を非難しながら、ぐちゃぐちゃになった頭で思う。




これは夢だ。




きっと夏休みの宿題をやりながら眠ってしまって、見ている夢。




そうでなければ、私のストレスが産み出した幻だ。そうに決まっている。






だって。














――昴は、一年前に、死んでいるのだから。










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