空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
だけど。


そんな幸せな屋上での毎日とは裏腹に、家の状況はどんどんと悪くなっていっているみたいだった。




「だから仕事で忙しいと言っただろう! そんなことをいちいち言ってくるな!」


「私だって仕事をしてるのよ! 自分だけ忙しいみたいな顔して」


「そんな顔はしていない! お前はいつもそうだ、何もかも俺が悪いように言って俺のせいにして……!」


「だって、実際そうでしょう! 家庭のことは私に任せっきりじゃない!」


「それは仕方がないだろう! 稼いでいるのはだれだと思っているんだ!」





そんな言い争いの声が響く。


それは、耳をふさいでも、ヘッドフォンをして音楽を聴いても、消えてくれない。


まるで不快なノイズみたいに、家中に響き続けている。


本当に、家に星が落ちてくれないかな。


飼い猫のココアを抱いてベッドに潜りこみながらそう思う。


でもそれは、何だか星に失礼なような気がした。


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