空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~

4

夏休みに入っても、思っていたよりもやることはぜんぜん変わらなかった。


昼間は紗英たちと遊んで、夜は屋上に忍びこんで昴といっしょに星を見る。


もちろん家にいる時間が多くなった分だけ憂鬱なことは増えたけど、昴といっしょにいる時間は、それを忘れさせてくれた。


優しく降り注ぐ星の光。


ぼんやりとそれを眺めていると、何だか心がからっぽになって、小さなことはどうでもいいような心地になってくる。


初めて会った時に昴が言っていた、「星を見てると、何だかいい気分になるんだ」という言葉の意味が、今なら少しだけ分かるような気もした。


「家でもずっと見てたいなぁ……」


そうすれば、辛いものでしかない家での時間も少しはマシなものになるかもしれない。


昴との時間を思い出して、優しい気持ちになれるかもしれない。


何となく言った私のその言葉に、昴が言った。


「じゃあ、家でも見られるようにするか?」


「え?」


どういうこと?


家でも星、見られるの?


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