空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
       ***



僕たちは、高校に進学していた。


屋上から見える星空がきれいなことで有名で、昴が行こうとしていた高校。


彼女は、だいぶ元の彼女に戻っているように見えた。


今では話しかければ普通に答えてくれるし、毎日学校にも通ってきている。


あの日以来、少しずつではあるけれど彼女は快復して、去年の秋くらいから、ようやく以前と同じように会話ができるようになっていたのだ。


僕は彼女とつかず離れずの関係を続けていた。


近づきすぎず、かといって離れもしない微妙な距離。


「……おはよう、仁科」


「あ、おはよう、涼くん。テスト勉強やってきた?」


「……うん。大丈夫だと思う」


「そっかー。私はぜんぜんだよ。どうしよう」


学校で会えば普通に話もするし、




「……もしもし」


「あ、涼くん? ごめんね、明日の集合のことなんだけど」


「……うん、何?」


「ええとね、駅前に十時でだいじょうぶかな? 紗英と茜と、透くんも来るって」


「……分かった」


用があれば電話をしたりもするし、




「……仁科、ついてる」


「え?」


「……そこ」


「あ、ありがと」


「……ううん」


休みになれば、藤井と三人で買い物や喫茶店に行ったりもする。




ともすればそれは一年前と、楽しかったあの頃と同じ光景のように思えた。


ただ一つ、そこに昴がいないことを除けば。


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