空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
自分の気持ちから、もう目を背けることはできないと気付かされることになったのは、あの海水浴の日だ。


仁科や藤井、クラスメイトの何人かと海に来ていたあの日。


「ねえ、梨沙、見なかった?」


「……仁科?」


「うん、さっきから探してるんだけどいなくて」


海の家にも荷物置き場にも、砂浜にもいない。


スマホにかけても、出ないらしい。


何となく、嫌な感じがした。


他のクラスメイトたちに訊いて回ってみると、最後に見たのは、少し沖のところでイルカボートに乗っている姿だったという。


それも三十分ほど前。


しかもこの辺りの砂浜では、時々離岸流が発生して海水浴客が沖へと流されてしまうことがあるらしい。


気付いたら、海へと飛びこんでいた。


< 156 / 203 >

この作品をシェア

pagetop