空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「あ、あの、涼くん……!?」


「……こうすれば、少しは温かいと思ったから」


「そ、それは、そうかもだけど……!」


腕の中にすっぽりと収まってしまうほど小さい彼女の身体。


離したくなかった。


この手で守りたかった。


だから僕は――


「……ねえ、仁科」


「ん……?」


抑えられなかった。


気が付いたら、僕はこう口にしていた。





「……好きだ」





「え……?」


彼女の顔が驚きの色に染まる。


しまったと思った。


言うつもりなんてなかったのに。


彼女は昴のことが好きで、昴も彼女のことが好きだった。


僕はそれを傍で見守っているだけのはずだった。


それなのに……


「……こんな時に言うことじゃないっていうのは分かってる。だけど今日、仁科が流されたって聞いた時、心臓が止まるかと思った。仁科が手の届かないところに行ってしまうかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなくなった。その時気付いたんだ、僕は仁科のことが好きなんだって」


「え、あ……」


「……返事、今度でいいから」


そう言うのが精一杯だった。


「え、あ、う、うん……」


彼女は、戸惑ったようにうなずいていた。








その数日後に、彼女の口から、「昴の幽霊がいなくなった」という言葉を聞くことになる。


< 159 / 203 >

この作品をシェア

pagetop