空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
その日は、Xデーの前日だった。


毎年夏の終わりにやってくる、梨沙の誕生日。


あたしはわくわくと心を躍らせて、明日に向けての準備をしていた。


プレゼントを用意して、友だちに連絡をして、ついでにサプライズの準備もして。


ん、これで全部オッケーかな。


そんな時に、梨沙から連絡があった。


『昴が……昴が、いなくなったの! 助けて……!』


何を言ってるのか分からなかった。


昴くん……?


いなくなったって、どういうこと……?


だってもう、昴くんは一年前に……


あたしたちは、慌てて梨沙のもとを訪れた。


「ど、どうしたの、梨沙?」


「……昴がいなくなったって、どういうこと? だって、昴はもう……」


「違うの……!」


「え?」


「違う……昴は、いるの……幽霊になって……」


幽霊って……


顔を見合わせるあたしと涼くんに、梨沙は真剣な顔でこう訴えかけてきた。


昴くんが幽霊になって現れたこと。


その昴くんの幽霊は、自分が死んだ時の記憶がないということ。


この夏休みの間、いつも梨沙といっしょにいたこと。


そして……その昴くんが、いなくなってしまったこと。


それは、それだけ聞いたらとても信じられない話だ。


何か夢でも見たんじゃないかって、そう言ってしまいたくなるような内容だ。


それを言っているのが……梨沙でなければ。


「あたしは……信じるよ」


「紗英……?」


「梨沙の言うことなら、あたしは信じる。何より梨沙が、昴くんのことでこんな嘘を言うはずない。だったら、昴くんの幽霊はいたんだよ。あたしは、そう信じる」


「あ……」


それはあたしの心からの言葉だ。


「……僕も、信じるよ。藤井の言うように、昴のことに関して仁科が嘘をつく理由はないと思う。それに、昴の気配みたいなのは感じてたから……」


涼くんも同じみたいだった。




だからあたしたちは……梨沙といっしょに、大晴山に向かうことにした。


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