空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「……ここから入れる」


一階の男子トイレの窓の鍵が開いていて、そこから中に入れるらしい。


窓枠を乗り越えて、私たちは校舎の中に入った。


う、なんかドキドキする……


「で、でもほんと真っ暗。幽霊とか、出ないよね……?」


意外にそういったものが苦手なのか、紗英がぎゅっと腕に抱きついてそう言ってくる。


「幽霊……」


と、そこで頭の上に浮かんでいた昴と目が合う。


にかっと笑って、ヒラヒラと手を振り返してきた。


よく考えたら、幽霊といえば本物がすぐそこにいるんだよね。


それも傍にいると安心できて、一番気心が知れた幽霊。


そう思うと、何だかとたんに怖くなくなった。


「だいじょうぶだよ、いこ、紗英」


「梨沙~……」


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