空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「梨沙! おい、寝るなって……!」


「……」


「寝たらやばい! 梨沙、起きろ……!」


「…………」


昴の声が遠くに聞こえる。


意識が、薄い膜に覆われているみたいで、はっきりとしない。


私、ここで死んじゃうのかな。


何だかぜんぜん実感がわかない。


だけど、それはそれでいいと思った。


少し早くなってしまうけれど、死んじゃって、幽霊になって、昴とずっといっしょにいられるのなら、それも悪くないかもしれない。そう思った。


「ねえ、昴……」


「何だ?」


「……私……昴とずっと、いっしょにいたいよ……」


「梨沙! おい、梨沙……!」


昴が叫ぶけど、その声が次第に遠くに感じられていく。


「……くそっ……! 助けを呼んでくる……! すぐに戻ってくるから、いいか、絶対に寝るなよ!」


「……う……ん……」


かろうじてそう返事をしたところで。



私の意識は、真っ暗になった。


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