空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「昴、そっち、外に出て」


「? 何でだよ?」


「いいから」


 怪訝な顔をしながらも、昴が窓をすり抜けて外に出る。


「こうして、手を合わせて」


「手を?」


「こうすれば、触れられるよ……!」


 ピタリ……


 ガラスの向こうとこっち。


 僅か二センチのガラス一枚を隔てて、昴の両手と私の両手が重なった。


「ほら、こうすれば、お互いの存在を感じることもできる」


「……」


「触れ合うことだって、できるんだよ……」


「……」


 昴は何も言わない。


 何かを諦めたような目。


 ただ、私たちは吸い寄せられるように、お互いの顔をガラスへと近づける。


 そして私たちは……そっと唇を重ねた。




 ガラス越しの、キス。





「梨沙の唇……冷たいな」


「昴の、だって……」


「本当は、そんなことないのにな……」


 昴が寂しそうに言う。


 そして、そっとガラスから離れた。


「やっぱりさ、俺は梨沙の傍にいるのはふさわしくない」


「昴……」


「だって俺は」


 私の言葉を遮るように、昴がピシャリと言った。








「――もう、死んでるんだから」



 それが、昴と私を隔てる、どうにもできない壁のように思えた。


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