空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「こんばんは……」


小さくそう口にして屋上へと出る。


一ノ瀬くんは、昨日と同じ場所にいた。


「ん? ああ、仁科か。よお」


「よ、よお」


返ってきた気軽な挨拶に少しだけ面食らいながら、小さく手を上げる。


「今日も来たのか。ヒマなんだな」


「あ、迷惑、だった……?」


「ん、そんなことないって。いっしょに星を見るやつなら大歓迎」


「そ、そっか」


だったらよかった。


私は昨日の一ノ瀬くんとの時間は楽しかったけど、彼もそうとは限らなかったから。


その言葉に少しだけ救われたような気がした。


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