空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
「ふーん、そんなことがあったのか」


「うん」


「でも俺は信じてるけどな、幽霊。あ、そうだ」


「?」


「決めた。もし俺が死んで幽霊になったら。仁科のところに化けて出ることにする。それで、幽霊はいるって、信じさせてやる」


にかっと笑いながらそう言う。


お祖母ちゃんと、同じ言葉。


だけどその物言いに、私は不安を覚えた。


「死ぬ、なんて、言っちゃだめだよ」


「え?」


「悪い言葉って、口に出すとそれが本当になっちゃうことがあるんだよ。言霊っていうのがあるんだから」


私の剣幕に、一ノ瀬くんは少し驚いたような表情を見せた。


「ん、悪い悪い。そうだよな。でも大丈夫だって、俺は死なないから」


「……うん」


「仁科、心配性なんだな」


そう言って私の頭にポンポンと手をやる。


だけど私の中から、漠然とした不安は消えなかった。


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