命短き、花初恋。
2章
8年
夏休みが明け、学校に行った。
でも、舞音くんの姿はなくって
図書室にもいなくて
どこにもいなかった。
先生に取り合っても
「何も知らない」
の一点張りだった。
それから8年経った。
私は25歳になり
大学を卒業し、
大手出版社に就職した。
入社1年目の私は小説の編集の部署に所属
していた。
「水元!」
「はい。」
「これ、コピーお願いできる?」
「わかりました。」
今話しているのは、同期の島津 涼夜くん。
同じ部署だ。
こんなふうに誰かと普通に話していると、
月日とともに、悲しみも薄れた…
気がする。
「水元ーっ!」
「はい!」
部長に呼ばれる。