命短き、花初恋。
「本当に、さっきはごめん。」
「…はい。」
「俺さ、水元の事が好きなんだけど。」
「え…?」
島津さんが、私の事…を?
「お前が真剣に仕事をする姿が、すごく好き
で。そこから好きになった。」
「…でも、私っ…」
「わかってる!…わかってるから、言わない
で…このまま、結末は知りたくない。」
「…私、高校生の時に出会ったんです。里倉
先生に。」
「…」
「それで…三日間だけお付き合いしました。」
「…」
「元々は、1ヶ月の約束でした。でも、それ
は遊びとかじゃなくて、そうするしかなか
ったんです…彼には、1ヶ月の時間しかなか
ったんです。」
「…どういう、事?」
「その時、先生は膵臓癌になっていました。
その時に、告白してしまったんです。だか
ら、1ヶ月。」
「でも、三日間だけだって…」
「…私達、子供だったんです。二人とも、別
れたくなかったんです。だから、寂しくな
っちゃったんです。だから、もっと離れら
れなくなる前に、別れたんです。」
「…そうなんだ。」
「はい。死んだと思ってたのに、再会しちゃ
ったんです。本当に、驚きでしたよ。」
「だろうね。」
「だからこそ。もう離れたくないんです。」
「…そっか。」
「だから、すみません。島津さんのお気持ち
にはお答えできません。」
「あーあ。言っちゃったか。」
「…すみません。私、はっきりしないの苦手
なんです。」
「っぽいね。」
「はい。」
「ありがと。」
「…え?」
「俺、水元のそういうところ好きだった。」
「…ありがとうございます。」
こうして、島津さんの誤解も解けた。
私はつくづく
よい同期に出会えた
そう、思った。