命短き、花初恋。
「桜…」
「水元?どうかし…っ!里倉先生っ!」
「どうしたんですか?里倉先生。」
「…ちょっと来て。」
私は、舞音くんに腕を掴まれる。
「えっ!?ちょっとっ!待って下さいっ!」
「水元!」
遠くの方で島津さんの声が聞こえた。
それでも、舞音くんは歩みを止めなかった。
更に、腕の力も強くなる。
手首が痛い。
「舞音くん!止まって下さいッ!手首が痛い
です!」
「…」
舞音くんはいきなり立ち止まる。
止まったのは、人通りの少ない
階段。
「桜。」
「な、んですか…?」
舞音くんの目が…
怖い。
「…どうして、島津くんといたの?」
「えっと…」
「何の話をしてたの?」
何の話。
告白されていた、だなんて
とてもじゃないけど、
今の舞音くんには言えなかった。
だって…
「舞音くん、怖いよ…?」
「…桜、全然わかってない。」
そう言って、舞音くんは私を抱きしめる。
苦しいくらいに。
「桜、俺だけ見て。」
その力とは裏腹に、声はとても弱々しかっ
た。