命短き、花初恋。
「それでは、ただ今より整理券を配布しま
す。」
いよいよサイン会だ。
私は定位置に着く。
サイン会が始まると、舞音くんは愛想よく
ファンに接する。
高校生だった舞音くんからは想像出来ない
ことだろう。
よかった…
ズキンっ…
頭に痛みが走る。
私はその場に座り込む。
「っ!桜っ!」
舞音くんが私の元に駆け寄ってくる。
「大丈夫、だよ。」
「だって桜、顔色も悪いし…」
「心配しないで…ほら、ファンの方々が待っ
ていますから。」
「でも…」
「大丈夫だからっ!」
「っ…」
「…ね?お願い。私は1人で大丈夫だから。」
私は立ち上がり、トイレに向かった。